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不況期こそ採用のチャンス?

総務省の発表によると、2020年8月の完全失業率は
前月比0.1ポイント増の3.0%となり、2ヵ月連続で悪化しています。
同じように完全失業率もまた、前年同月比49万人増の206万人でした。

 

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、
雇用への影響も依然として色濃く残っています。
また、厚生労働省が発表した8月の有効求人倍率は1.04倍で、8ヵ月連続の悪化。
2014年1月以来、6年7ヵ月振りの低水準となっています。

 

有効求人倍率とは、求職者1人につき何件の求人があるかを示すものであり、
1を割ると仕事を探している人の数よりも求人数が少なく、
就職難であるということです。

新型コロナウイルス感染拡大前までは上昇が止まらないと言われていた
有効求人倍率ですが、これほどまでに下がるとは誰が予想できたでしょうか。
就職は適材適所でもありますので、実際の数値以上に
厳しい状況下にあると言っても過言ではありません。
採用環境だけでも、新型コロナウイルスの影響がいかに大きいか、
お分かりいただけたかと思います。

 

この環境の中で各企業はどのように採用を考えていけば良いのか?
過去を振り返ると、日本はバブル崩壊やリーマンショックなど
様々な景気後退局面に直面してきました。
実はそのような不況期に積極的な採用を行った企業や業界が、
その後の業績を伸長させる動きを見せているのです。

 

では、不況期に輩出される人材とはどんな人でしょうか。
不況期には大企業を含む多くの企業で採用が抑制されますので、
優秀な人材が新興企業に流出したり、ロイヤリティの高い人材が採用できる可能性があります。

 

そして、不況期採用の人材には以下のような特徴が挙げられます。

◆優秀な人材:
採用全般において、採用実績のない大手企業や難関校から採用できる。
◆他業界志望者:人気業界の企業が採用を抑制するため、他業界に志望者が流動する。
◆異なる能力を持った人材:不況による通常業務の減少に伴い、良い人材の採用活動に時間をかけられる。
◆ロイヤリティ:「採用してくれた」という意識が強く、入社した会社に恩義を感じてロイヤリティが高くなる。
◆大量採用:採用企業が減るため、母集団形成が容易になる。

 

採用におけるこれらのチャンスをものにした企業が、今後は業績を大きく伸ばし、
マーケットシェアを獲得していく可能性が高いと考えられます。

 

例えば、97~99年の金融大不況期には大手金融企業が破綻するなど、
大手企業への信頼が地に落ちた結果、真新しい産業として
IT・eコマース・人材業界などが猛烈に採用攻勢をかけていました。

 

2000年以降のITバブル崩壊では、今度はヴァーチャルな産業から
リアルなビジネスへの回帰が起き、その旗手となった流通・サービス系の
ベンチャー企業が、優秀な人材の採用に成功しています。

 

そして、2008年米大手証券会社の倒産をきっかけに始まった
世界的な金融・経済危機、いわゆるリーマンショック。
今をときめく有名企業(ドライバーを手配するオンライン配車サービス、
写真や動画をシェアできるSNSサービス、空き部屋を貸したい人と
借りたい旅人をつなぐWEBサービス、ビジネスチームのメンバーが
連携しながらコミュニケーションできるチャットツールなど…)も、
ほとんどが2008年~2010年に設立され、当時積極的に採用した優秀な人材が
幹部となり、業績を大きく伸ばしています。

 

もちろん、新型コロナウイルスの終息もまだ見えない中で
先行きに不安を感じることも多くあると思います。
しかし、これから事業拡大や新規ビジネス創出など積極的な採用活動を
考えている企業にとっては、まさに今がチャンス。
そのような企業の社長様や人事担当者様は、少し前向きに
採用活動を考えてみてはいかがでしょうか。

 

優秀な人材を獲得し、5年後・10年後にあっと驚くサービスの創造や、
業界で圧倒的なシェアを獲得している、そんな未来が待っているかもしれません。
いずれにしても、経済を少しずつ活性化して、皆さんが働きたい職場や
やりたい仕事に就ける未来が早く来ることを願っています。

 

211406