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意外と知らない、世界の新卒採用事情。 アメリカや欧米各国では“即戦力採用”が主流。 “新卒一括採用”は日本特有? 通年採用となる新たなマーケットでの変化は。

経団連からの就活ルールの廃止表明があり、企業・学生の両者に大きな影響を及ぼすことが懸念される“通年採用”。就職活動の長期化など学生側の動き方の変化だけでなく、企業側でも、優秀な学生を早く確保するために採用手法や時期を見直す機会が増えているのではないでしょうか。
日本では、通年採用の利点よりも懸念点の方がよりフォーカスされがちですが、実は世界では日本のように新卒一括採用を行っている国の方が少ないようです。

 

 

アメリカや欧米諸国は「即戦力採用」が一般的。


世界のGDPランキングトップ10の国の中で新卒採用を行っているのは、中国や日本といったアジアの数ヶ国のみのようです。アメリカやドイツ・イギリスなどの欧米諸国は、日本のように採用してから人材を育てることはありません。

では、アメリカや欧米諸国の学生達は一体どうやって就職しているのでしょうか?

欧米の各国は原則として新卒採用という概念がなく“即戦力”になるかどうかを重視しており、欠員時に採用を行うケースがほとんどです。

即戦力採用が当たり前の場合、当然ながら実務経験の無い新卒者は中途採用者と比較し採用率が減少します。そのため、学生は長期インターンシップに参加して実務経験を積むことが必要不可欠となります。

日本と異なり、長期インターンシップは職歴として認められるため、インターンシップを修了する際には、企業から「職歴証明書」や「推薦状」を発行されることが一般的です。

学生達はこれらを用意して、新卒採用ではなく日本でいう中途採用に、社会人たちと肩を並べて挑むのです。そのため、ドイツやイギリスの学生による就職活動は、就学中ではなく卒業後に行うことが一般的です。

 

日本でも「通年採用」「即戦力採用」が当たり前に?


このような中で、学生側からも長期インターンシップの需要や重要性が求められています。

通年採用における学生側の懸念点としては、就職活動の長期化による学力低下であり、また企業側においては、採用長期化による採用コストや人員の負担増加や経営の圧迫といった課題点が挙げられています。

しかし学生側の多くは、インターンを前向きに捉えているようです。

「今後のインターンシップの参加希望」に関するアンケートによると、学生の92.6%が「調節訪問のインターンシップ」に参加希望しており、フリー回答では「雰囲気を知り、実際に体験することで自分に合っている会社・仕事かを見極めたい」などの声も上がっています。

 

こうした学生側からの需要が高まる一方で、企業側ではまだまだ課題が少なくありません。1Dayや短期インターンシップを実施したいと回答した企業は全体の77.1%を数えますが、採用に重きを置くことが難しい中小企業などでは、“インターンシップ”とうたっていても実体はただの企業説明会となってしまっている企業も多いようです。

学生側のニーズが高まっている分、インターンシップの内容次第では学生からの評価に大きく影響しかねないマーケットになりつつある今、労働条件・環境の見直しだけでなく、短期インターンシップの企画内容の見直しや長期インターンシップの実施検討といった対策が必要になるのかもしれません。

 

<参考URL>
株式会社学情 調査データ:2020年11月12日発表
「あさがくナビ2022登録会員対象 2022年卒学生の就職意識調査(インターンシップの参加希望) 2020年11月版」
https://service.gakujo.ne.jp/data/survey/questionnaire202011-6

株式会社ディスコ ニュースリリース:2020年2月17日
「2021年卒・新卒採用に関する企業調査-採用方針調査(2020年2月)」
https://www.disc.co.jp/press_release/7465/

 

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