Category

カテゴリ一覧

コロナ禍での新卒入社者の育成・定着への影響

新型コロナウイルスの影響により、生活・働き方が大きく変わった2020年。
社会や経済が大きく変化する中で、企業側も働く環境の変化が求められ、「リモート・在宅ワーク」「WEB会議」「オンライン商談」など、今までの「当たり前」から、大きくシフトした1年だったのではないでしょうか。

そんな中、働き方の変化と同様に、人事担当者様が対応を求められたのが、「新卒採用者」への対応ではないでしょうか?

特に2020年度の新卒入社者に関しては、多くの企業で20204月入社早々のタイミングで緊急事態宣言が発令となり、新卒社員への研修・育成について早急な変化が求められました。

企業様のお声を聴いていても、Withコロナ時代の新卒社員との関わり方に関してお悩みの声や、新たな取組みなど、様々なお話をいただきました。

今回は「2020年度新卒入社者の実態調査」の結果を元に、新卒社員、人事担当者それぞれの側面から、実態と影響を見ていきたいと思います。

※以下、「パーソル総合研究所」調べhttps://rc.persol-group.co.jp/

■2020年度の新卒社員に対して、過半数の企業は在宅勤務を認めている


企業が新卒社員に対してどの程度、在宅勤務させていたかの調査結果によると、「在宅勤務のみ」「在宅勤務 週34日程度」と回答した企業が

2020年4月7日~5月中下旬(緊急事態宣言中)53.0%
2020年5月中下旬(緊急事態宣言解除後) 42.3
2020年6月 27.7
2020年7月 22.5

2020年10月 12.9

と、20204月~5月の緊急事態宣言期間中をピークに、新卒社員の在宅勤務の頻度は少なくなっていました。

一方、新卒社員に対して「出社のみ」を認めている企業に関しては

2020年4月7日~5月中下旬(緊急事態宣言中) 26.0
2020年5月中下旬(緊急事態宣言解除後) 32.7%
2020年6月 43.6
2020年7月 48.2

2020年10月 47.4

と、「出社のみ」を認めている企業の割合は増加したものの、半数は越えておらず、在宅勤務の頻度は変われど、過半数の企業は何かしらの形で新卒社員を在宅勤務としていることがわかりました。

■新卒社員の在宅勤務での課題、1位は「同期とのコミュニケーション」


新卒社員が感じる在宅勤務での課題に対しての調査結果では

1位 同期とのコミュニケーションのとりづらさ
2位 自律的に業務を遂行する必要性
3位 職場の先輩社員とのコミュニケーションのとりづらさ
4位 OJTや業務を通じた教育効果の低下
5位 研修・業務へのモチベーション低下
6位 上司とのコミュニケーションのとりづらさ

となっており、1位・3位・6位が「社内コミュニケション」に関わる項目となっていました。

新卒社員が在宅勤務となっている中で、コミュニケーション量が不足しており、その部分を課題として感じている新卒社員が多いことが見受けられます。

■在宅勤務での新卒育成への影響は二極化


コロナ禍での新卒育成への影響について、「業務能力獲得」、「定着」、「心身の健康状態」、「職場適応」それぞれの項目に対して「良い影響」、「悪い影響」を人事担当者に調査した結果では、在宅勤務を実施している企業の方が、在宅勤務を実施していない企業よりも「良い影響」、「悪い影響」どちらも増加しており、在宅勤務での育成が上手くいっている企業、上手くいっていない企業が二極化していることが考えられます。

■コロナ禍の新卒社員の定着。鍵は「コミュニケーション」


コロナ禍でも新卒社員が定着し、成長を続けてもらうためには、いかに「コミュニケーション」の機会を設けるか、が大きく影響します。

コロナ禍で新卒育成が上手くいっている企業は「経営層」「上司」「先輩」「他部署」「同期」など、様々なレイヤーと積極的にコミュニケーションが取れるよう、人事担当者が工夫をしています。

ある企業では、オンラインで

・月1回の全社員のミーティング
・新卒社員のみの報告、共有の機会
・上司、先輩(メンター)とのマンツーマンでの面談
・人事担当者とのマンツーマンでの面談

などを人事担当者が主導で定期的に行うことによって、新卒社員の定着に努めている、という話も聞きます。

■最後に


新卒採用の一括採用は海外ではあまり見られない、日本独自の文化です。
同じ時期にまとめて新卒社員が入社してくることにより、一度に研修を行うことができ、効率性は高いと言えます。

一方、「33割」と言われるように、大卒の新卒入社者の30%が3年以内に離職してしまう「早期退職」も、日本独自の問題と言えます。

様々な変化が求められる時代だからこそ、いま一度自社の新卒採用のあり方や定着・育成のための手法を見直す機会としてはいかがでしょうか?

【出典】株式会社パーソル総合研究所 20201221日リリース
「新卒入社者のオンボーディング実態調査(コロナ禍影響編)」
https://rc.persol-group.co.jp/research/activity/data/new-graduate_onboarding.html

360415